
Concept
本シリーズでは、小林健太がこれまで制作してきた写真、CG、デジタル加工作品を生成AIに参照させ、そこに猫、花、東京の都市イメージを重ねることで新しい像を生成している。参照元には、Photoshopの指先ツールによって写真の色彩を引き延ばす[[Smudge(2013年-)]]、都市の写真や過去作を3DCG空間で断片化した[[Tokyo Débris(2022年-)]]、鏡や反射を扱う[[Broken Mirrors(2020年-)]]、そしてストレートフォトが含まれる。 制作には主にMidjourneyを使用する。複雑な説明文でAIに細かく指示するのではなく、自作アーカイブをムードボードとして読み込ませ、Tokyo Debris with Cat や Tokyo Debris with Flowers のような短いプロンプトを与える。AIは過去作を人間のように解釈するのではなく、色彩、破片、反射、ストローク、ガラス質の質感といった視覚的特徴として読み取り、しばしば誤読する。本シリーズでは、その誤読を失敗としてではなく、作品が作者自身の外へ出て、別の知覚によって読み返される出来事として扱う。 静止画作品は、Midjourneyが一度に4枚の候補を生成するUI構造を取り込み、4連作として提示される。同じ起点から生まれた4つの像は、互いに似ていながら同一ではない。そこには、写真のエディション制度が持つ複製性、選択、オリジナルの不在といった問題が、AI時代のインターフェースを通して更新されている。 展示では、生成された画像をアクリルマウントし、周囲にトタン製のフレームを付けて発表した。AI画像を画面上のデータとしてだけではなく、光沢、反射、重さ、工業的な質感を持つ写真オブジェクトとして物理空間に置くことで、非物質的な生成イメージと物質的な支持体のあいだに新しい質感を立ち上げている。

Inspiration
AI時代において、作家性がどこに宿るのかを探ること。自分の過去作をAIに参照させることで、自己模倣、他者化、再解釈が同時に起こる。そのときAIは単なる外部ツールではなく、自分の作品史を別の知覚で読み返す鏡のように振る舞う。 タイトルの copycat は、AIという模倣者への呼び名であり、同時にアーティスト自身の模倣性や憧れの個人史にも接続する。コピーは同一性ではなく、ズレを生み続ける分岐として扱われる。 着想の背景には、生成AIによって自分の過去作を再読解できるのではないかという感覚がある。Smudge、Tokyo Débris、Broken Mirror などは、それぞれ写真、CG、反射、都市、物質化を扱ってきたシリーズだが、AIにそれらをまとめて読み込ませることで、自分自身でも予期していなかった共通点やズレが返ってくる。そのプロセスは、アーカイブを整理するというより、作品史そのものを別の存在に見せ、読み返してもらうことに近い。 猫のモチーフは、インターネット・ミームの中を流通する代表的なイメージであり、人間が作った情報インフラの中を自由に移動する存在として現れる。犬が従属やコントロールの象徴として見えるのに対し、猫は人間の支配からすり抜ける自由な他者として感じられる。AIもまた、人間が作ったシステムでありながら、完全にはコントロールできない他者として現れる。その距離感を、終末的な怪物ではなく、猫のような軽やかでおかしな存在として捉えることが、このシリーズの重要な入口になっている。 また、John Bergerの「動物を見ること」からの影響もある。人間は動物を疎外することで、他種から見られる経験を失った。#copycat における猫は、人間が再び他種のまなざしを求める欲望と、AIという新しい他者に観測されたいという欲望を重ねるための存在でもある。
Utility
Technique
アクリルマウントされたインクジェットプリント、鉄
Status
価格応相談
Size
335 × 500 x 45 mm
Edition
Ed.4 (A.P.2)/左上からEd.1/4, 2/4, 3/4, 4/4(イメージは違うが一個のエディションとして扱う)